篠山紀信写真展「Tokyo Addict」

派手できれいでおかしなものが被写体。ドコモビル、109の店員などいかにもトウキョウといったものだけではなく、工事現場や街頭演説など意外なものもある。一枚二メートル以上に大写しになった写真のビビッドな色彩が見る者を襲う。そこから感じる混沌としたエネルギーは、東京を渦巻き支配する資本主義の力そのものである。

ビルや洋服をよりゴージャスに写し出す作品もそれなりにきれいだったが、人間の顔と体が写った作品の方がよりいきいきとしていた。使い古された言い回しだけど、「顔はヌードである」ということなのだろう。

・渋谷 ZERO GATE
オープン直前のビルを写す。磨き上げた壁面、クリーム色の光と漆黒の闇のコントラストが美しい。どんなに格好つけても和民が映り込むのが渋谷。どんなに取り澄ましてもセンター街に漂うゴミの匂いや雰囲気が漂ってくるのがたまらなく好きだ。

有明 ロウライディング・パーティー“THE FUN”
原かおりの顔と胸が嘘っぽい。シリコンとか整形とかの話じゃなくて、写真の中で特殊なオーラを放っているということ。後ろにある車の赤いボディもピンクの豪華な内装も現実離れしている。着ている服には「Dreamin’」とあり、ますます信じられない。その後ろをカメラも意識せず小汚い服装でしごくどうでもよさそうに歩く一人の男がこの写真を強く現実に引き付けている。

・物を作る人の顔と年輪を重ねた老人の肉体の美しさ。作為を持って笑わせに来た顔の浅ましさ。


一般700円、学生500円。12/1まで。