春子ブックセンター

大人計画の本公演ではじめて宮藤官九郎が脚本・演出を担当した戯曲。場末のストリップ小屋を舞台に、一世を風靡したコントグループが再結成するまでの道のりを、というのが筋。ネタ合わせやコントのシーンが多くを占めるために派手な音響も場面転換もなく、登場人物はそれぞれが役割に合わせて動きや服装や言葉でただただ笑わせつづける。登場人物が一人増えるたびに笑いのバリエーションが一つ広がる。
宮藤は芸人システムの「兄さん」である松尾のぼそぼそした声と気持ちの悪い動きをする体を借りて、ダメ出しの形で弟子のネタ(従来のお笑いのステレオタイプ)には何がどのように足りないかを語る。コントを通じてお笑いの面白さの仕組みを説明し、その過程も笑いに包んでねじ伏せる。
最後まで隙なく見事だった。