大人の工場見学(工業製品としての麺類)

1.粉と水を機械で混ぜ生地を作る。外から触ることはできない。

2.生地をローラーでプレスして平たく伸ばしながらベルトコンベアで流す。この時点では大きな板ガムのように見える。

3.ベルトコンベアの途中にある切り刃の上を通ると板ガム状の麺は焼きそばの幅になる。色は白いがようやくそれっぽくなってくる。

4.大きな機械の中に入る。中では熱湯が循環しているものと思われるが外から見ることはできない。熱そうだ。

5.出てくると湯気も立ち色も変わりすっかり焼きそばらしくなっている。ただし、切れ目がないので薄気味悪い。言っちゃなんだがモスラの糸みたいだ。

6.毎分60回のペースで刃を落とす裁断機にかけられ、一人分の麺になる。

7.機械によって袋詰めされ、ベルトコンベアに乗って別室へと進む。この辺になると麺も観念したらしく、ピクミンより従順になっている。

8.パレット(ふたのないプラスチックの浅い箱。コンビニでよく見る、陳列前の品物が入っているあの箱みたいなものだ)の中に麺を4×3の列を守って規則正しく詰められる。じゅ・う・に・こ・だ・か・ら・ダ・ー・ス・で・す。古いよ。

9.検品を経て-8℃の冷却室に。ここのベルトコンベアを通過する過程で麺は殺菌される。

10.再び検品。それから幾つかの工程を経て箱詰めされる。

11.フォークリフトにて集荷され、トラックで各地に配送される。

僕が今まで関わったのは8と9。1-7まではどうすることもできないわけで、10-11は高度な専門性が問われるわけで。基本的に楽な仕事と昔書いたけど、30分に1回は機械が故障したりベルトコンベアの調子が悪くなったりするので油断できない。

例えば、うどんが来ないと思っているとコンベアの出口で詰まっている。詰まっても機械は止まらないからこちらのペースも考えずに進むばかり。気付いたらそこらじゅうがうどんでいっぱいってこともしばしば。
いつもなら自動のはずの8の工程、昨日は機械の故障につき各自が手動でやり、箱を持ち上げたり運んだりと予想に反してかなりの肉体労働だった。

ところで、小麦粉が焼きそばになって出荷されるまでをつぶさに観察しているうちにポール・ギャリコ『雪のひとひら』を思い出した。人生の縮図というには大袈裟だが、どこかしら似通った所があるのかもしれない。