ぐりとぐらと(前)

ぼくらの なまえは ぐりと ぐら
このよで いちばん すきなのは おりょうりすること たべること
ぐり ぐら ぐり ぐら

「シリーズごとに海行ったり森行ったりしてるけどさ、僕らの関係ってなんなんだろう」
ぐりは せっていに ぎもんを なげかけました。
「ふたごって説が濃厚だよ。作者が8つも年の離れた姉妹で、双子の兄弟がいれば
一緒に遊んで楽しかろうと思って書いたんだって」
ぐらは うんちくを かたむけました。

「へぇ。でも、のねずみにしちゃ兄弟少ないよ」
「いいじゃねえか。そろそろ玉子の場所に着くぞ」
「隠し子とかいるんじゃない?生き別れのさ」
「しっ、それ以上言うな。奴らが出るぞ」
「何が?」

おれらの なまえは ぐれと ぐる
このよで いちばん すきなのは やんちゃをすること むれること
ぐれ ぐる ぐれ ぐる

「あちゃあ…」
いきわかれの きょうだい ぐれと ぐるです。しゃがんで こちらを にらんで います。

「てめえら、誰に断ってこの森入ってんだよ」
ぐれが すごみました。
「う…」
ぐりは すくみました。
「玉子取りに行くんだろ?」
「ち、ちがいます」
ぐらは なんとか ごまかそうとしました。
「いや別に悪いことじゃないよ。拾得物をどうしようと君達の自由さ」 
ぐるは いんぎんに しゃべりかけ、 ぐりと ぐらは ぞっとしました。 
「だがな、一応俺らも『もりのどうぶつ』なんだよ」
ぐれの ひとことに ぐりと ぐらは かおを みあわせて くびを かしげました。
こわそうなひとほど さみしがりなんでしょうか。

「ぐれさんは もうすぐ寿命なんだよな」
ぐらの みみもとで ぐるが ささやきました。
はじめて きく じじつに ぐりと ぐらは とまどいを かくせません。
「冥土の土産に『かすてら』を食わせてやりたいんだが、どうだい」
「…分かりましたぐれさんぐるさん」
「もしあれでしたら一緒に食べましょうか」
ぐりと ぐらは ちょっとかわいそうにおもい、 かるい きもちで はつげん しました。

「うっしゃー!」
「玉子!玉子!転売!転売!」
ぐれと ぐるは しゅんじに てのひらを かえしました。
4ひきの としは ほとんど おなじ。 じゅみょうだなんて うそっぱちです。

「…くう」
2ひきは のびた もんしで はがみしました。
(つづく)