冬のセーター

今、自分はお気に入りのセーターを着てモニタに向かっている。タートルネックの赤いセーターだ。
五年間酷使したおかげで毛玉が浮いているし袖と胸には小さな穴が空いている。
それでもお気に入りには違いなく、この冬も一番の頻度で着倒している。

この服を着ていると時々ツッコミが入る。
「その服赤いね」
「いやあ赤い」
「ありえないカラーリングだ」
む。

見慣れない服だからかもしれない。単にツッコミを入れたいだけかもしれない。あるいは「男の色」「女の色」という懐かしい固定観念のなごりかもしれない。
ツッコミの理由はどれだろう。どれでもいいんだけど最後のだとしたら少し寂しい。
青、黒などの「男の色」は一言で言えば無難な色だ。 一つの色が無難と認められるまでにはそれなりの歴史や文化的背景があり、 その分だけ支持も得られやすい。だから無難も決して悪いことじゃないし嫌いなわけでもないんだけれど。

でも、好きなものは多い方が楽しい。気になるものには首を突っ込んだ方が楽しい。
似合わなくても一笑い分のネタにはなる。だから、気になるのを見つけたらとりあえず試着する。
僕はそんな風にしてこのセーターを試着し、満足して購入した。だから好きだし、袖を通すときは少しだけ気分がよくなる。

ツッコミを入れる相手にここまで説明するのは面倒だし(キーを打つのも少し疲れてきた)向こうだって聞く気がないだろう。 だから、僕はこう答えることにしている。

うん。いいでしょ、これ。