「JAM:東京−ロンドン」展

真昼の日差しを避けるため、ビルの影に身を隠してゲリラ兵のように歩く。紫外線の狙撃は免れれたものの、28℃の気温にすっかりやられる。
来るべき夏に不安を覚える。できれば一年中秋がいい。

初台のオペラシティに到着。
最終日近くの会場は混雑しており、そこここからビデオ作品の音響が聞こえてきた。

ポストペットのモモに兄弟が沢山いたことや細かいキャラ設定がなされていたことに驚く。就職活動中の女子大生だったり調理師見習いだったり。設計者の手を離れて独りでにキャラが動いているのがよくわかる。逆に、かわいらしいけど何だか今一つのキャラクターもある。この差を生むのは何だろう。考えてみよう。

都築響一のラブホテル展示に圧倒される。
妖しい光の中で回るベッドに腰掛けて次々変わるインテリアの写真を見る。いかにもラブホテルな内装も数多くあるが、馬車型ベッド(白馬付き)、F1カー、日本庭園などエロより笑いを起こさせる内装もまた多い。
こうした個性的なインテリアは、風営法の改正によって絶滅の危機に瀕している。「宿泊に必要のないものを置いてはいけない(大意)」ということで、ラブホテルはだんだん均質化しているとのことだ。勿体無い。

なくなる前に見学に行きたい。
いや、見学と称して連れ込みたい。

誰を。

初手から問題は山積み。

World Design Laboratoryのドレスは背中から五画形のひれが生え、裾が恐竜のしっぽになっていた。機能として必要ないものを身に着けるのは贅沢でいい。さて、これは進化か退化か。
■参考
「狩谷苑生」をご覧下さい。
http://www.u-office.co.jp/~irana/sakuhin/jinbua02.htm

NAKAの写真には、じめっとして濃密な空気が漂う。椎名林檎がくわえている赤黒い苺が鈍く輝く。光の当て方と色の濃淡がたまらなくエロく、思わず目を見張る。でも、9点ある写真のモデルのどれにしても、手を出したらただごとではなくなるだろう。目がこちらを向いていなかったり、こちらを向いていても網膜に何も写ってないように見えるところがその理由かもしれない。

吉永マサユキの暴走族写真シリーズに飛び上がった。集合写真に地元の暴走族が写っているのだ。とっくに絶滅したと思っていたのに、この手の十代がまだまだいる。なぜ今。
「ビッとする」に代表される彼らの美意識の謎を解いてみたい。

3時間くらい滞在し、なんとかひととおり見て回る。回り切れなかったところもあったが概ね満足。