うどん工場の秘密

ここ2ヶ月、肉体労働のアルバイトをしている。
卒論だ就職活動だと規則的に不規則な生活の中で金を稼ぐにはこれがもってこいなのだ。好きな時に好きなだけ働けるシステムなので、週1日でも7日でも咎められはしない。前日キャンセルも基本的には構わない。人間関係が希薄で給料も安く労働から学ぶことの少ない仕事ではあるが贅沢は言っていられない。何せ年末年始は物入りなのだ。

そんなわけで、やむなくお仕事。朝6時に家を出て7時に集合、製麺工場で8時から19時まで延々と働いた。今日の仕事は監視、袋詰めうどん1ダース入りの箱が通過するのを見張る仕事だ。
楽だと思われるかもしれない。確かに楽だ。肉体的には死ぬほど楽だ。でも、精神的に押し迫ってくる。機械類が充満する薄暗い工場で巨大な製麺機と天井に挟まれた狭い空間に一人寝そべってモーターの音を聞いていると、本格的にどうにかなってしまいそうだ。時間の流れが無闇に遅い。うどんの個数をカウントするのにも飽きたので、自分の横できゅらきゅらと回る大きな歯車を見ながら「モダンタイムス」と「7ひきのこやぎ」の筋を思い浮かべてみた。そんなことをしても10分しか経っていなかった。