音溝を読む

音楽を聴かずに過ごした日の報告です。

前夜
階下からテレビの声が気に障るが、聞くものが何もない。布団をかぶって丸くなっても安眠できず、神経が昂ぶって苛々したまま夜が明ける。雀の鳴き声をBGMに眠る。


11時起床。朝じゃない。こんな時間に目が覚めたら大変なはずなのに何の問題も起きない無職の自分に激しい自己嫌悪。気分を変えたくてラジオをつけると中年のくぐもった声。最悪の目覚め。


勉強や片付けや単純作業。作業のとりかかりと仕上げに一曲聴く(場合によっては踊る)ことを習慣にしているが、今回はそれができないためになかなか集中できない。聞きたい曲が次々と頭に浮かんでは消える。
ひとたび集中すればそれなりにうまくいくが、一時間半くらいで限界がきて机に突っ伏す。始めと終わりの5分間ばっかりははどうにもならない。これが魔の時間帯ってやつだ、と薄れゆく意識の中で考える。日本代表気分でうたた寝


夕餉の買い物と気分転換を兼ねて外出。ウォークマンなしで歩くと駅前は人の話し声とエンジン音とパチンコ屋の喧騒とカーステレオから漏れる低音が入り混じって襲い掛かり、サティの中は売り子の声とセール情報、いらっしゃいませいらっしゃいませさかなさかなさかなきのこのこのこぴりかららっきょうぴりかららっきょうとろっぴかーなとろっぴかーなちぇけらう。
今までヘッドホンで蓋をしていた所に一気に流れこんだ大量の情報を大脳が処理できず、簡単にオーバーフロー。帰る頃にはいつもの調子に戻ったのだが。


調理中に聴くものがないと退屈だ。包丁の音に凝ってみたりまな板を叩いたりしてみるが、料理に支障をきたすのですぐ止める。森野熊八よろしく歌いながら調理。味は並。
夕食後、再び勉強など。音楽がないなりの集中のしかたを覚えた所で23時30分。あと30分で解放されると思うと待ち遠しくてたまらなくなり勉強が手につかなくなる。CDを取り出してライナーノーツと裏のきらきらを眺めて期待を高める。いよいよ末期だ。

待望の午前零時。スティーヴィー・ワンダーの声がしみた。

以下は覚え書き。
■メリット
・集中力が増す
・単純作業のミスが減る
・外出時の方向感覚がわずかながら鋭敏になる(方向音痴に変わりはない)
・音楽のありがたみを知ることができる

■デメリット
・目覚めが悪い
・間がもたない
・疲弊する
・集中するまでに時間が掛かる
・単純作業のストレスが倍増する
・外出時に周囲の情報を受け取り過ぎてくらくらする
・すごい電波っぽい

■頭を回った音楽
・「黄桜」のCFソング